2010.11.17 PKOについて

土曜日
北陸大学 東アジアの今を知る

日本のPKOについて。

PKOに自衛隊を派遣するのは賛成か、反対か?
こういうアンケートを取ると普通反対派が結構な勢力いるものだと思っていたが、
実際この授業に出ていた人10人のうちでは9人が賛成だった。

この授業に参加している人は高齢者が多く、戦争を体験した人もいて
朝鮮戦争で戦死したホルマリン漬けのアメリカ軍の、バラバラになった死体を洗浄した
英語は敵性言語だったけれど敵国の事を学ばなかったのは間違いだった
本当は特攻隊で出撃する筈だったがその前に戦争が終わって助かった
軍需工場で銃(?)を作った
富山が空爆を受けた時金沢からでも空が真っ赤になったのが見えた
等、生の戦争体験を聴く事が出来たのは貴重だ。


私の祖父は戦争で中国に出兵し、現地の中国人と仲良くなったようで
(戦後ずっと手紙のやり取りをしていたくらいに)
案外その時代の人というのは中国人に対してそう悪いイメージを持っていないような気がしている。

今のようなボタン一つだけのゲームのような戦争になる前、
戦争と言えば民間人だろうが軍事だろうが訳も判らず入り乱れ、
とにかく生き延びるために必死に殺し合ったのが戦争なんだ、
戦争とはそういうものだと云う言葉には説得力がある。
だがお互いに同じ血の流れる人間だと云う事が、その現場の人にはよくわかったのかもしれない。


PKOに賛成か?
賛成という人でもやはりそれぞれ個別の条件や考えを持っている。

ただ気になったのは卒論の為に参加していた大学生が
なぜPKOに参加するのかというのは感覚的な物で「困っている人を助ける」という
ただ当然の事をするだけだという意見を述べた事だ。

まだ彼は若く、留学もしていないのかもしれない。
だが人の国に土足で上がり込んで軍事介入しようと云う時に
「困っているなら助けてあげよう」という日本の隣組のような、
「(基本理念や通念は同じ筈で)協力すれば感謝するだろう、困っている事は同じだろう、
 皆も同じ気持ちで助けてあげているのだろう」と安易に考えるのは危険だ。

PKOに参加するのは単に自国の軍人に給料をやる余裕がなく、
PKOに派遣すれば国連から給料が出るからであり、
またPKOで参戦する事で実戦経験を積む事が出来るためであり、
中国ならばアメリカの味方を減らし、力を削ぐため、中国の味方を増やす為である。
(勿論軍事軍連をする為でもある)
(実戦を体験していない軍隊は弱い)(だから韓国軍は強いと言われる)

それぞれの国に独自の理念がある。
多くの主要なEUや米国はキリスト教ベースの思想とと自由民主主義に沿っている。
そしてそれが世界に広く浸透する事が正義だという立場に立っている筈だ。
残念だが世界はバラバラで一枚岩ではない。
思想も正義も国によって違う。
だからこそ私は留学後、自衛隊不要説からコロっと軍隊必要説に鞍替えしたのだし
宗教や思想を研究する必要を感じたのだ。
たった半年の語学留学でもそう感じ取れる程度に、人は違う。


日本にとって何が正義なのか、キリスト教圏の理念とは、
突き詰めれば違う思想体系を持っているのが日本人だ。
本当にアメリカの思想に乗っかっているだけで良いのか、
日本にとっての国益とは何なのか、それをまず自分達がよく理解する事だ。
その上で、中国のように「国益の為」でもよいけれども、
国外に出る時には独自の明確の理由を持って出なければならないだろう。
「みんながするから」という理由でフラフラ方向性が変わる様ではダメなのだ。
何故ならば「みんな」はバラバラの方向を向いているのだから。


というのを授業が終わってから考えたた。
う〜ん、授業中に頭の中で纏まれば大学生に助言も出来ただろうけれど、
もう彼とは二度と会う事もないのかもしれない。
閃きも煌めきも足りない脳みそが恨めしい事だ。

でもいつか気付いて欲しい。
優しい気持ちだけで世界の波を乗り切れはしないとい事を。